ダメ親のすすめ 第13回

第13回:読んでよかったこんな本(育児本編)

とりとめもなく書き連ねてきたこの「ダメ親のすすめ」も、これでとりあえず一旦完結です。
最後の締めくくりとなる今回取り上げるテーマは育児に関する「本」。長くなりそうなので前後編に分けました。今回書くのは前編「育児本編」です。

もしこのブログをお読みの方で、まだ子供が生まれたばかりで何をしていいのか不安でいっぱい、育児関連の本を読んで勉強したいけど何を読んだらいいのかよくわからない、という方がいたら、最初にアドバイスをしておきます。

育児本は、7割方ろくでもないです。

いや、断片的にはいい事書いてあったりもするんですよ。それに、いい本もあるにはあるんですよ。ただ、いい本だろうがトンデモ本だろうが、読み手の態度として毎回「7割方ろくでもない物なんだと思って、話半分に距離を置いて読んだほうがいい」んです。

それはなぜかというと、子供なんて百人百様で、仮にその本に書かれてる事が世間の多くの子供には当てはまったとしても、あなたのお子さんには当てはまらないかもしれないからです。
そして、当てはまらない事は全く恥ずかしい事でも劣っている事でも変な事でもなく、子供ってそういうもんなんです。大人と比べて子供って個人差がでかいんです。

だから、本を読む時の態度は「偉い先生のありがたいお話を頂いて役立てよう」ではなく、「ちょっとでもアホな事言ったら即ツッコミいれてやる、気に入ったら参考にしてやろう」くらいの気持ちで、批判する気満々の上から目線で行った方が迷いが少なくて済みます。

多くの育児書は、根拠も明示せず自信満々に「これをすべき、あれをしてはダメ」と断定してきます。心を強く持たないとすぐ「自分の育て方は間違ってるんじゃないか」という不安に陥りますが、正直そこまできっちりやらなくても、子供って意外と本質をよく見ていて、愛されてるなという実感さえあれば、そんな変な事にはならないですよ。

さて、ではどんな本がお薦めかというと、私は「保育士向けの保育の本」を一番にお薦めします。親向けの育児本のコーナーには、英才教育とか子供の能力を飛躍的に高める本とか「そういうのがお好きな方にはたまらない本」が結構混ざっていて、タイトルからはそういう系の本だと気付かずに読んで「うわー地雷踏んだー」と頭を抱えることがよくあります。

その点、保育士向けの本にそういうトンデモは皆無であり、さすがは現場で日々戦ってる人向けの本だけあって、即実戦で使えるようなアドバイスでいっぱいです。あと「困った親への対処法」という章がある本が多いのですが、それを読むといかに自分が些細な事に神経質になっていて、実際何の問題もないのにカリカリと不安に駆られているんだなと気付く事ができて、とてもよい反面教師になります。

そんなわけで、保育士向けの本はそんなにハズレは少ないのですが、その中から敢えて一冊挙げるとして、私が立ち読みからそのまま思わず買ってしまったこの本をご紹介します。

この本、レビューでも懐疑的な意見も結構寄せられてる通り、著者の主観がかなり入ってる感じで、時々「ホントかよ?」と思う部分もあります。
でもその結果、著者の言い分を鵜呑みにしないで、自分で考えてみようという気持ちが自然と湧いてくるので、それが逆に良かったです。
この本をきっかけに「そういうもんかな?違う気もするな?」と自分自身の目で子供を見て考えてみて、それで自分なりの答えが見えてくるという事もあるので、そういう「問題提起のテーマ集」だと思って活用されるとよろしいかと思います。

では、保育士向けではない本で何かをお薦めするとしたら、私はこの2冊を挙げます。

数ある育児書の中から敢えて私がこの2冊を挙げたのは、この本に「正しい事が書かれている」「参考になる事が書かれている」からではありません。この2冊だけは

「根拠が書かれている」

からなんです。(いや、書いてある事はたぶん正しいし、参考にもなるんですが)

育児書の中に書かれているアドバイスで、きちんとした根拠が書かれているものはほぼ皆無に近いです。長年子供の教育に携わってきた方が、自分の経験や観察から感じた事をアドバイスとして書いているものがほとんど。それはそれで納得できる内容の時もあるのですが、何しろ一人の人間の視点から書かれているので「それ本当にその通りかな?あなたが勝手にそう思い込んでるだけじゃないの?」と釈然としない事が結構あります。

そんな中、この2冊は医学・社会学の研究成果を引用しながら書かれています。自分の目で見た観察じゃなくて、多くの人がデータを集めて論文を書き、その論文を多くの人がチェックして、まぁ間違いないだろうと認定した情報を集めて書いてあるんです。

もちろん学問だって完璧ではなく、特に人間の健康や成長は個人差や環境差などの無数の要因があまりに複雑に絡み合っているので、過去に学問的に正しいとされていた事が後で完全に否定される事もよくあります。

でも「根拠なんて別にどうでもいい、私の目にはそう見えるからそれが事実なんだ」という姿勢と比べたら、不完全でも根拠に基づいて話をしようとする姿勢の方がずっと信頼できます。

私は常々、育児の世界で最も欠けているのは「できるだけ個人の意見を排除して客観的であろうとする姿勢」であると不満に思っていて、そんな中でこの2冊のような本は、本当に貴重で素晴らしい存在だと私は思うのです。

次回予告:「読んでよかったこんな本(絵本編)」

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