ダメ親のすすめ 第3回

第3回:子供に「早くしなさい」は禁句です

一見まともそうに見えるけど実は幼児を持つ親を追い詰めている、育児に関する様々なアドバイス。そんなアドバイスを、ダメ親である私がぶった切るこの「ダメ親のすすめ」も早くも第3回。今回採り上げるのはこの言葉です。

「子供に『早くしなさい』は禁句です」

これもまた、言っている事自体は全くもってその通り、ごもっともな言葉ですね。
ブログを書く前に念のために「早くしなさい 言わない」で検索かけてみたら尾木ママの著作が検索にヒットしてしまい、うぉう俺、尾木ママにケンカ売っちまった・・・と少しビビリ入ってます。

では、なぜこの言葉がいけないのでしょうか?
まず、私はこの言葉の言っていること自体は大賛成なんです。というか、私ごとき素人が賛成するまでもなく

「子供になるべく否定的な言葉を使わない」
「子供は叱るよりも褒めて育てる」
「急がせずに子供のペースを尊重する」

っていうのは、子供の前向きな気持ちを伸ばすための育児の基本中の基本です。専門家の誰もが似たような趣旨のことを言っています。私の親も言っていたの で、これは最近できた説ではなく、昔からずっと言われ続けてきた定説なのでしょう。であれば、おそらくこの言われた通りにしておけば子供は健全に育つはずです。

じゃぁ、これだけみんなが昔から延々と言い続けている定説なのに、なぜ未だにこの「子供に『早くしなさい』は禁句です」というアドバイスは言われ続けているのでしょうか。それは

「禁句だと分かっていても、誰もがつい言ってしまう」

からですよ。
親だって本当は「早くしろ」なんて言いたくない。できるだけ言わないほうがいいなんて事は当然分かってる。でもできない。
そんな悩みを抱えている人に対して、「『早くしろ』と言わないようにしましょうね」なんてアドバイス、何の役に立つと思いますか?

これって、禁酒中なのについつい酒飲んじゃう人に対して「酒飲んじゃいけませんよ」って注意してるようなもんでしょ?んなこた言われなくても分かってるわぁ!!アホか!!って話ですよ。クソの役にも立たないですよこんな正論。

子供は急がせないほうが方がいい、なんて事はもう十分過ぎるほど知っています。私が知りたいのは、どうすれば急がせずに時間通り子供の身支度を済ませ、遅刻せずに出勤できるのか、という具体的な手段なんです。

残念ながら、そこにキチンと答えてくれている育児書やアドバイスに私は一度も出会ったことがありません。どれも「心に余裕を持って子供と向き合いましょう」だの「子供の心に寄り添ってみましょう」だの、全てを「子供への愛」と「大人としての責任」で解決しようとする回答ばかりです。これって、全てを「気合い」と「根性」で解決しようとするダメな体育会系の根性論と思考回路は全く一緒ですよね。

これが体育会系の根性論であれば、その雰囲気になじめなければ「あ、俺、そういうの嫌いなんで」と断って部活を辞めることができますが、育児の場合、そうはいきません。
「あ、俺、そういうの嫌いなんで」と断ったら、何だか自分が子供を愛していない冷血な人間のように思えてしまう。だから、より悪質だと私は思います。

愛してないわけじゃない!!
愛してるのに怒鳴ってしまうから、より自己嫌悪になるんじゃ!
この気持ち分かるか!!

そこで私は、ある人が言っていたこの説を信じています。

もし子供に「早くしろ」と言ってしまったら、なぜ自分が今急いでいるのかを説明して、後で「お前があの時急いでくれたから本当に助かったよ、ありがとう」とたくさん褒めて思いっきり抱きしめてあげれば、「早くしろ」と言った事による悪影響は帳消しにできる。

この説に出会ったことで、私は子供を叱る事がずっと気楽になりました。禁句が無いという状態が、こんなにも人をリラックスさせるものだったとは。そして、「早くしろ」と怒鳴ってしまう事への罪悪感が減ったことで、結果的に「早くしろ」と言う時の声のトーンが以前よりずっと穏やかになりました。

ちなみにこの説って、一体どんな児童教育の専門家の言葉なんでしょうか?
違います。これ、素人の私が勝手に考えた、根拠も何も無いデタラメの説です。
でも、なんとなく説得力ありませんか?
逆に言うと、児童教育の専門家が主張する「こうすべきだ」というやり方って、何か具体的に根拠があるんですかね?

それから、児童教育の専門家のアドバイスって、ほとんどが原則論なんですよ。
「子供に『早くしろ』と言うと悪影響が出る」という「原則」だけを我々にアドバイスしてくる。
でも実際に子育てやってみると、その原則通りに完璧にやるのってまず無理なんですよね。
育児書の内容を真に受けてマジメに実践しようとすると、本に書かれた内容を100点満点としたら自己評価は30点とか50点とか、そういう点しか取れないのが普通でしょう。

親だって人間ですから、やっぱり褒められないのは辛いし、うまく行かない事が続けば次第に自信とやる気も無くなります。
これがまだ、「あと少しの努力で達成できる事をやれば100点!そこからさらに自発的にやれば加算で120点!」みたいな難易度設定だったら親も自分の育て方に自信が持てるのに、育児書に書いてある事って難易度が高すぎるので、常に減点法になるんです。

だから、育児書って読めば読むほど辛くなり、真面目な親ほど追い詰められる。
それでイライラを溜めて子供に当り散らしてしまうくらいだったら、そんな本は読まないほうがよっぽど良いと私は思います。

そして世の児童教育の専門家の皆様には、ぜひ「理論」と「実践」の違いをもっと重視して、理論通りにできなかった場合に、どこまでだったら子供に悪影響が出て、どこまでだったら気にする必要はないのか、という視点の考察を深めていってほしいのです。
ハッキリ言って今の育児書は、個別の言ってる事はそれなりに正しかったとしても、それが親を追い詰めてトータルでは逆に害になるような内容のものが多すぎます。

それともう一つ。私は先ほど、「どうすれば急がせずに時間通り子供の身支度を済ませ、遅刻せずに出勤できるのかという具体的な手段が知りたい」と書きました。
その一助として私が育児書としてぜひ出版して欲しいと思っているのは、会社四季報みたいに

「日本中の0~5歳の子供がいる世帯を1000件無作為で選んで匿名のアンケートを取り、子供の数・共働きor専業・毎朝の起床時間・出社時間・退社時 間・実家との距離(同居/近所/遠方)・家事分担(どの家事を夫妻どちらがどの程度[毎日・休日のみ・気が向いたら手伝う]やっているか)といった内情をひたすら載せている本」

です。それを見て自分と似た人を探して参考にしたいし、将来子供が大きくなったり、2人・3人目ができるとどう生活が変化するのかを知りたいんです。

生活スタイルは人それぞれ違うので、こうすれば急がず余裕をもって暮らせるという万人向けの必勝法はおそらく無いでしょう。アドバイスしようにも難しいだろうから、せめて他の人がどうやっているかを知る事ができれば、ベストのやり方を自分で考えるのに非常に良い材料になります。

それも、時々雑誌で特集されているような、特別に能力が高く環境に恵まれた人の珍しい成功例を1~2個紹介されても何の参考にもなりません。それよりも、普通の子育て世帯の普通の子育ての例を1000個くらい知りたいんです。その方がよほど実戦の役に立ちます。

「何をすればいいか」はもう聞き飽きました。そっちはもうお腹いっぱいです。
これからは、「どうやってそれを実現するか」を考えていく段階ではないでしょうか?

次回予告:「仕事も育児も頑張るママ

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